第226章 私はいる

(牧野結菜の視点)

私は裸足のまま、病室の扉の前に立っていた。床は骨まで刺すように冷たくて、冷気が足裏から這い上がり、膝が小刻みに震える。それでも、引き返さなかった。

彼女は廊下の長椅子に身を投げ出すように倒れていた。紙みたいに白い顔。唇には血の気がない。ボディーガードが身体を支え、当直の看護師が駆け寄ってきて、しゃがみ込み、手首に指を当てる。

「血圧が低いです。脈も乱れてる。過労と、疲れがかなり溜まっているせいでしょうね」

看護師は眉を寄せ、廊下の奥へ声を張った。

「車椅子、持ってきて!」

私はまだ、指先でドア枠を掴んでいた。手の甲の点滴跡――留置針を抜いたところから、小さな血...

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