第36章 削除

(福山真司の視点)

オフィスの空気が、息苦しいほど沈んでいた。

「これが、てめえらが一か月かけて作った案か? 全部ゴミだ。やり直せ。明日の朝までに新しいのが出てこなきゃ、部署ごと消えてもらう」

プロジェクト部長は顔面蒼白のまま、転がるようにして出ていった。扉が閉まる音を見送っても、胸のつかえはまるで取れない。

苛立ち紛れにネクタイを引っ張る。頭の中に浮かぶのは、牧野結菜がベッドに横たわっていた、あの生気のない顔だけ。

――あの女、ここまで俺を嵌める気か。

自傷でもすれば、同情を買えて、俺が折れるとでも思ったんだろう。甘い。二度と引っかかるか。

……そう言い切りたいのに、どこか腹...

ログインして続きを読む