第39章 骨折れ

(牧野結菜の視点)

午後の陽射しはやけにやさしくて、江城いち賑わう商店街の石畳に、あたたかな光を落としていた。

通りの角にあるカフェの前。

レモン色のワンピースを着たショートカットの女の子が、背伸びをして大きく手を振っている。

「結菜! こっち! ここだよ!」

声の方へ目をやると、口元がほんの少しだけ緩んだ。

「やっと来た! どれだけ待ったと思ってんの!」

平山里穂子が甘えるみたいに私の腕へ絡みついてくる。けれど私の顔を見た瞬間、声が喉で止まった。

まるで首を掴まれたみたいに、笑みがそのまま凍りつく。

「……うそ。結菜、どうしたの……その顔……」

両手で私の頬を包み、じっ...

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