第44章 狂ったように

(福山真司の視点)

酒を飲みすぎた。

アルコールのせいで反応が遅れて、押し込めていたものまで、じわりと浮き上がってくる。

目を細め、目の前に突然現れた女を見た。――知らない。

顔いっぱいに怒りを張りつけ、何に腹を立てているのかもわからない。

村山愛未がまだ俺の腕に縋っている。俺の身体が固くなったのを感じたのか、彼女は小さく囁いた。

「真司兄……」

「触るな!」

俺は勢いよく彼女の手を振り払った。力が強すぎたらしく、愛未はよろめいて二歩、三歩。転びそうになって慌てて踏ん張る。

誰かを庇ってるわけじゃない。

ただ、もううんざりしていた。

あの女が消えてから、俺の世界は滅茶苦...

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