第47章 空にする

(福山真司の視点)

自分がどうやって別荘まで戻ってきたのか、覚えていない。

もう一度、あのがらんどうの部屋へ飛び込み、狂ったように引き出しを片っ端から開け、棚も扉も全部ひっくり返した。ない。どこにもない。全部、空っぽだ。

……本当に、消えた。

駆け引きでもなければ、拗ねたふりでもない。家にあるべきものを根こそぎ持っていって、ここから完全に姿を消した。

スマホを取り出す。指が震えて、まともに操作できない。それでも何度も、同じ番号にかけた。

『申し訳ありません。おかけになった電話は――』

舌打ちして通話を切り、連絡先を開く。結菜のアイコンを探し出し、メッセージを打ち込んだ。

【ど...

ログインして続きを読む