第78章 私と結婚してくれるか?

(牧野結菜の視点)

白いスポーツカーが、人気のない夜の街を滑るように走っていく。車内は静かすぎて、息苦しいほどだった。

杉浦先輩はハンドルを握ったまま、何度もルームミラー越しに私を窺う。私の肩には先輩のジャケット。髪は乱れ、顔色は紙みたいに真っ白で、片足は裸足。もう片方の足首には、血と肉がぐちゃりと潰れた傷があって――見ているだけで目が痛い。

先輩は何か言おうとして唇を開き、結局言葉を飲み込んだ。慰めたいのに、どう切り出せばいいのかわからない。そんな空気。

だから、私のほうから沈黙を破った。

「先輩。ひとつ、ちゃんと話しておかなきゃいけないことがあります」

先輩の心臓が、ふっと跳...

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