第340章

水原拓真がいつまでも黙り込んでいるのを受けて、吉野文詠の声には自ずと苛立ちが混じった。

「水原社長、先ほど申し上げたこと、きちんとお聞きになっていますか」

「うちのボスは、尋常ではないほど多忙なんです」

「そちらで都合がつかないというのであれば、今後一切、面会の話は持ち出さないでいただきたい」

実のところ、吉野文詠自身も二人が顔を合わせることを望んではいなかった。

彼女の推測によれば、あの二人が対面すれば、必ずや何らかの火花が散るに違いないからだ。

万が一にも衝突が起きれば、この先の計画を進めるのは極めて困難になる。

もし水原拓真のほうから面会を拒否してくれれば、後になってボス...

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