第350章

水原拓真はさらに何かを言いかけようとしたが、一本の電話に遮られた。

水原雪乃からの電話だった。できるだけ早く病院に来てほしい、そしてそれは黒川綾に関わることだと言う。

白井弦羽からこれ以上有益な情報を引き出すのは無理だと見切りをつけた。

水原拓真は無駄な時間を切り上げ、そのままその場を後にした。

階下に降りるなり、水原拓真は秘書に白井弦羽の一挙手一投足を厳重に監視するよう命じた。

この街で白井弦羽が知る人間は少ない。彼が接触を図る人物がいれば、最大限の警戒を払う必要がある。

吉野文詠については全く脅威ではなく、波風を立てる力もないため、過度に案ずる必要はない。

秘書は、水原拓真...

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