第352章

「ずっと、自分の心の赴くままに行動して、誰も傷つけなければそれで十分だと思ってた」

「でも、現実は私の理想とは全然違った。私は誰も傷つけていないのに、あの人たちはいつも私を目の敵にして、事あるごとに邪魔をしてくる」

黒川綾はそう言い捨てると、また酒を大口で呷った。

こうした思いは、とっくに黒川綾の頭の中にこびりつき、離れなくなっていた。

しかしこれまでは、気がかりなことが多すぎて、彼女はずっとその本音を口に出せずにいたのだ。

酒が入った今、黒川綾はかえってそうしたしがらみから解放されていた。

ましてや、白井雪叶の性格なら、絶対にこのことを他人に漏らさないと分かっている。

白井雪...

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