第361章

視線が絡み合う。

水原拓真は甘く優しい眼差しを向け、黒川綾の腰に手を添えた。

「俺の顔を立ててくれないか」

黒川綾はこくりと頷いた。

「分かりました。それで手を打ちましょう」

車を降りると、黒川綾は一度も振り返ることなくオフィスビルへと吸い込まれていった。

だが、エントランスに足を踏み入れた直後、ちょうど一人の男性同僚が通りかかった。

「おはようございます!」

「おはようございます。昨日、大きな案件を取ったって聞きましたよ。もしよければ、今度一緒にディスカッションさせてもらえませんか。いくつか教えていただきたいことがあって」

「教えるだなんてとんでもないです。一緒に勉強して...

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