第364章

ざあざあざあ。

バスルームに、温かいシャワーの音が響き渡る。

白井弦羽の言葉が、頭の中で何度も何度もリフレインしていた。

黒川綾はゆっくりとしゃがみ込み、身体を丸めると、温かな湯に混じってとめどなく涙を流した。

外から足音が近づいてくる。

綾は咄嗟にシャワーの勢いを最大にし、その水音で外の気配を掻き消そうとした。

コンコンコン。

ドアを叩く音が響く。

「ママ、どうして出てこないの? もう三十分も経ってるよ?」

輝星のあどけない声が聞こえた。

もうそんなに?

綾は慌てて蛇口をひねり、優しく声をかける。

「ごめんね、ママもうすぐ出るから。先に戻って宿題しててくれるかな?」...

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