第374章

ドンッ。

グラスが乱暴にテーブルへ置かれた。

田中は薄ら笑いを浮かべ、意味深な視線で周囲を見回した。

「あたしたちの言う通りよねぇ?」

「当然ですわ。たかがデザイナーでしょう? お客様は神様ですもの。客を放り出すような人間なんて、今後恐ろしくて使えませんわ」

「ええ、本当に。私も近々デザイナーを探すつもりでしたけど……あなた、見たところ大したことなさそうね。どこの会社の方?」

口々に飛び交う嘲笑と非難の声。

個室を満たしているのは、揃いも揃って名家の奥様方ばかりだった。

黒川綾は胸の奥から込み上げる不快感を必死に押し殺し、愛想笑いを浮かべた。

「申し訳ありません。少しだけお...

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