第379章

「あっ」

黒川綾は突然宙に浮き上がり、驚きのあまり悲鳴を上げた。視界がぐるぐると回り、頭がくらくらする。我に返ったときには、なんと水原拓真に片手で抱き上げられていたのだ。

輝星は嬉しそうに手足をバタバタと動かした。

「パパ、すっごい力持ち! おばさんたち、みんなパパのこと褒めてるよ」

黒川綾は最初少し怖がっていたが、子供の声を聞いて優しい笑みを浮かべた。

「はいはい、パパはすごいわね。私たちは勝つのを待っていましょう」

その腕の中に抱かれたまま、黒川綾の足は水原拓真の歩みに合わせて揺れていた。自分で歩く必要がない分、周囲の状況がよりはっきりと見渡せる。

確かに、今や彼ら家族三人...

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