第403章

黒川綾は去っていった。白井弦羽と共に。

終始、こちらを一度も振り返ることなく。

黒川綾、愛している……

振り向いてくれ。

意識が薄れゆく最後の瞬間、電話の向こうから機械的な音声が聞こえてきた。

「おかけになった電話は現在出ることができません。のちほどおかけ直しください」

彼女は彼を相手にしようとはしなかった。

体が地面に崩れ落ち、一滴の涙が血と混じって頬を伝う。

周囲の野次馬たちはギョッとして息を呑んだ。

「なんてことだ、この人はどうしたんだ? 頭を打ったのか? 早く救急車を」

「終わったな。おい運転手、まだ文句を言ってるのか。とんでもないことをしでかしたぞ。相手の車を見...

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