第418章

病室の奥から聞こえる会話は、まだ続いている。

和やかな空気の中、双方が上機嫌だった。

中の会話は弾んでいたが、黒川綾の耳にはもう一言も入ってこなかった。

安織。

なんて親しげな呼び方だろう。

この前会った時は、まるで他人のような素振りだったのに。再会した途端、そんな名前で呼び合う仲になったというのだろうか。

黒川綾は口元に自嘲の笑みを浮かべると、輝星の手を引いてきびすを返した。

輝星はまだ幼いが、とても賢い子だ。

水原拓真が別の女と寄り添って立っているのを見て、それが何を意味するのかを瞬時に悟り、大人しく綾の後について歩いた。

車に乗り込むと。

輝星はひどく無口になった。...

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