第420章

タッタッタッ。

足音が近づいてくる。

水原拓真はベッドに横たわっていた。負傷した脚は動かせない。彼は片手で頭を支え、色気を漂わせるような姿勢をとっていた。

ドアが開く。

焦燥に駆られた黒川綾が汗だくで飛び込んできたが、室内の光景を目にして呆然と立ち尽くした。

これは……色仕掛けだ。

彼女は動きを止め、気まずそうに視線を逸らした。

「執事が、熱を出したって言ってたけど?」

どう見ても熱があるようには見えない。

水原拓真はひょいと眉を上げた。

「本当に熱があるんだ。嘘だと思うなら、触ってみてくれ」

大真面目な顔で、そんな甘い言葉を口にする。

黒川綾の顔はさらに赤くなった。...

ログインして続きを読む