第425章

そよ風が吹き抜け、彼女の髪を乱した。

黒川綾はうつむいたまま、なぜか得体の知れない後ろめたさを感じていた。

白井弦羽は、まるで荒唐無稽な冗談でも聞いたかのように軽く吹き出し、口元に嘲笑を浮かべた。

「腐っても公人だろう。少しは礼儀をわきまえるべきじゃないかな」

「お前にか」

水原拓真の瞳は暗く沈み、その奥に鋭い光を宿していた。彼は黒川綾の手をきつく握りしめると、もう片方の手で彼女の後頭部を鷲掴みにし、強引に唇を奪った。

白井弦羽は目を細め、何度も歩み寄ろうとしたが、結局は元の場所から動かなかった。

唐突すぎる口づけ。

黒川綾は驚き、我に返って彼を突き飛ばそうとした。

だが、...

ログインして続きを読む