第426章

退勤の時間を迎えた。

眼下の道路では渋滞が始まっている。

ひしめき合う車列を見下ろす。クラクションをどれほど鳴らそうとも、車は一向に前に進めない。

白井弦羽はふと軽やかな笑い声を漏らした。

「見てみろよ。大勢の人間が、あの眼下の車と同じだ。待ちぼうけを食らい、選択を強いられる。だが俺は、空を飛ぶ飛行機になりたい。行きたい場所へ飛んでいく……自由を求め、自らの運命を支配したいんだ」

自らの運命を支配する、か。

黒川綾は空へ視線を向けた。

日はすでに沈み、いつの間にか一筋の暗雲が空に漂っている。

厚い雲が光を遮り、どんよりと薄暗い空模様はひどく陰鬱だ。今の彼女の心境そのものだった...

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