第436章

室内は突然、異様な静寂に包まれた。

水原拓真はうつむき、その双眸は氷のように冷たく凍りついていた。薄い唇をわずかに開き、関係を否定しようとしたその時。

林田安織が恥じらうように口を開いた。「お父様、もうそんな話はやめて。私たちに少し時間をちょうだい? まだ出会ったばかりだし、片付けなきゃいけない用事もあるの」

彼女は水原拓真の傍らから立ち上がり、中年の男の隣に座ると、甘えるようにその肩を揺らした。「それに、今はもうそんな時代じゃないわ。婚約だなんて急がずに、ゆっくり進めていきたいの」

「海外から戻ってきたばかりで、自分の仕事もあるし、会社にも入らなきゃいけない。やらなきゃいけないこと...

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