第440章

駄目になった。

あれが、完全に駄目になった。

もう一生、使い物にはならない。

黒川綾の胸中には名状しがたい爽快感が広がっていた。えずきが収まった後、彼女は瞬き一つせずにその光景を見つめた。

水原拓真は胸を痛め、彼女の両目を手で覆うと、かすれた声で言った。

「見るな。汚すぎる」

「あなたが見ろって言ったんじゃないの?」

今更目を塞いで、何を見ろと言うのか。

「見なくていい。聞くだけで十分だ」

水原拓真は綾をぐっと腕の中に抱き寄せた。

「仇の悲鳴を聞くのが、一番気分がいいだろう」

抵抗できないと分かっている綾は、大人しくその場に座り、耳を澄ませた。悲鳴が絶え間なく耳の奥へと...

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