第469章

黒川綾は車内の時計を見上げた。パーティーの開始時刻はもう目前に迫っている。

どうであれ、気が進まないとはいえ、参加するからにはきちんとした身なりで臨まなければならない。

今から向かって着替えやメイクをしても遅刻は免れない。このままでは、今夜はこの車から一歩も出られなくなってしまうかもしれない。

水原拓真は微かに眉をひそめた。その深く澄んだ瞳には嵐のような激情が渦巻き、端正な顔立ちにはほんのりと赤みが差している。

彼は薄い唇をきつく結び、目の前にいる彼女を逃がすつもりがないことは明らかだった。

一方、黒川綾はすでに声も枯れ果て、全身から玉のような汗を流していた。まるで水の中から引き上...

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