第480章

柔らかな朝の光が、気怠げに部屋へ差し込んでいる。

微睡みの中、黒川綾はカサカサというかすかな音で目を覚ました。肌に冷たい空気を感じて、ぼんやりとまぶたをこじ開ける。

ベッドの上では、水原拓真が正座し、その手に塗り薬のチューブを握っていた。

彼女はハッと我に返り、一瞬にして眠気が吹き飛んだ。慌てて布団を引き寄せて体を隠そうとしたが、その端はすかさず伸びてきた別の手にガッチリと掴まれてしまう。

「傷があるだろう。わざわざ薬を持ってきたんだ」

怪我?

いつの間に?

どうして自分では気づかなかったのだろう。

綾が状況を飲み込めずにいると、拓真が先んじて命令を下した。

「脚を開け」

...

ログインして続きを読む