第511章

室内は、急激に温度が下がったかのように冷え込んでいた。

異様な空気が漂う。

息が詰まるほどの重圧。

林田家当主は、失望の色をありありと浮かべて林田安織を見つめた。

「お前が弟や妹を快く思っていないのは分かっている。だが、彼らも血の繋がった肉親だ。どうしてそこまで突っ張る必要がある? 私たちは家族じゃないか」

血の繋がり、か。

家族、ね。

腹の底で煮えくり返る怒りを必死に押さえ込み、林田安織はそっと下唇を噛んだ。いかにも理不尽な扱いを受けたと言わんばかりの、涙ぐんだ顔を作る。

「お父様の目には、私がそんな冷酷な人間に映っているのですか? 今日ここへ来たのも、すべては家のためを思...

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