第512章

この光景には、どこか見覚えがあった。

ただ、二人の立場が逆転しているだけだ。

すべての出来事が起こる前、黒川綾はいつもよく喋る側だった。

そして水原拓真は、たまに短い相槌を打つ程度だった。

ふとつまらなさを感じて、黒川綾は勢いよく立ち上がった。

「たかが山登りよ。2、3時間もすれば戻ってくるわ。さあ、出発しましょう」

この近くの山はそれほど高くなく、子供が登るのにちょうどいい。長くても3時間あれば戻ってこられる。

黒川綾が輝星を見つけ、いざ出発しようとしたところへ、別の2人の少女が駆け寄ってきた。

「おばちゃん、わたしたちもお山に登りたいの。一緒に行ってもいい?」

2人の少...

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