第517章

記憶の中の水原拓真は、若さと活気に溢れ、周りの誰に対しても優しくて善良だった。どうしてこんな風になってしまったのだろう。

もしかすると、すべては運命だったのかもしれない。

もし、何も起きていなかったら、どんなに良かっただろう。

だが残念なことに、もう何もかも元には戻せない。

黒川綾は目を閉じ、音もなく涙をこぼしながら、顔を背けて無理やり眠りにつこうとした。

翌朝。

黒川綾が目を覚ますと、水原拓真はすでに部屋を出ており、隣はもぬけの殻だった。

時計を見ると、すでに昼になっていた。

黒川綾は少し考えた後、自分のスタジオには向かわず、水原グループのビルへと足を運んだ。

折悪くと言...

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