第548章

黒川綾が再び目を覚ましたのは、すでに昼を回った頃だった。

肌に残る生々しいキスの痕や、胸元の赤らみを目にして、彼女は羞恥に頬を染めた。

こうした濃密な行為はこれまでに何度も重ねてきたはずなのに、なぜか今になってひどく恥じらいを感じてしまう。

身を起こして鏡の前に立ち、全身に刻まれた無数の痕跡を目の当たりにすると、慌てて服を羽織った。

手早く身支度を整えると、彼女は仕事場へと向かった。

だが、思いがけないことに、オフィスの入り口には招かれざる客が待ち受けていた。

他ならぬ、林田安織である。

再びの対面だった。

林田安織はひどく愛想よく振る舞ってみせた。

「来たのね。今日はあな...

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