CH10

モーガン

「狸寝入り」の皇太子は、唸り声を上げかけたまま青ざめ、動きを止めた。だが、私はシャン医師から目を離さなかった。今、最も重要な人物は彼だ。

「シャン先生?」反対側からくぐもった声がした。「ケイジ殿下とアリ様をお連れしました。皇太子殿下にお会いしたいとのことですが、もう少しで終わりますか?」

皇太子の目が大きく見開かれた。私はドアノブに手をかけた。彼と視線が合うと、彼は歯をむき出しにした。私はその視線を真っ向から受け止めた。彼は体の横で拳を握りしめ、わなわなと震え始めた。頬の色がドス黒く沈み、瞳が光を帯び始める。

「いや、まだだが中断はできる。服を着せ直すので、彼らには少し待って...

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