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ハヤト

彼女の唇に触れたまま、俺は息を呑んだ。腕を回して彼女を強く抱きしめる。まるでそうしていなければ、彼女が永遠に消えてしまうかのように。口づけは深まり、彼女の手が俺の髪に絡みつく。その唇は熱を帯びていて、俺と同じくらい長い間、この瞬間を待ちわびていたかのようだった。

何年も心の奥底に押し殺してきた飢えと渇望のすべてをぶつけるように、俺は彼女に口づけを返した。

俺は水を蹴り、水面へと浮上した。水しぶきが飛び散る中、顔を出す。息継ぎのためにわずかに唇を離したが、それ以上離れることはできなかった。彼女は笑った。柔らかく、水に濡れたその声で、再びキスをしてくる。

「ハヤト……ハヤト……」

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