CH20

モーガン

彼が私から背を向けると、ようやく息ができるような気がした。空気の熱は引いたものの、私はその場から一歩も動けずにいた。心臓が胸の中で早鐘を打っている。まるで彼の心が透けて見えるようだった。多くを知っているわけではないけれど、彼が私を求めていることだけは分かった。彼の欲望が、遠くから寄せる波のように感じられたのだ。私は深呼吸をして、平静を取り戻そうと努めた。彼はクローゼットの扉へ向かい、それを開けて中へと入っていった。

「待って……」

ウォークインクローゼットだったの?

私は部屋を横切って彼を追い、開いた扉から中を覗き込んで、思わず息を呑んだ。そこはクローゼットというより、もう一...

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