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ツネオ

落下しながら体をひねり、俺は必死に手を伸ばした。峡谷の縁、あるいは何かの突起、つかめるものなら何でもよかった。手が何かに掛かった。俺はその男を強く抱え直し、岩に指を食い込ませた。激痛を覚悟して身構えたが、自分の手を見ると、それは眩く光る鉤爪へと変貌していた。

煌めくような黒い毛皮に覆われ……稲妻のような、柔らかく青白い光を帯びて輝いている。

まるで、ユウマのように。

その事実に気づき、俺は息を呑んだ。すると毛皮は引いていき、鱗へ、そしてまた皮膚へと戻っていった。

聞きたいことは山ほどあったが、今はそれに構っている場合ではなかった。俺は抱えている男を見下ろした。彼は意識が朦朧とし...

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