CH55

アリ

激しい怒りが全身を駆け巡り、白熱した業火となって私を骨の髄まで焼き尽くそうとしていた。ツネオの姿――あの人間へと身を乗り出し、キスをしようとするその顔は、幸せそのものに輝いていて……見るに堪えなかった! 嫉妬という名の毒蛇が心臓に巻きつき、肺から空気を絞り出していく。彼はドアを開け、彼女を中へと招き入れた。その瞳は喜びで揺らめいている。

こんなことがあってはならない。彼は私のものだ。私の隣にいる運命にあるのだから。私こそが、彼の傍らで未来の王妃となるはずだったし、そうあるべきだったのだ。あの人間の侵入者は、早急に排除しなければならない。入念に練り上げた計画を前倒しする必要があるだろう...

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