CH58

アリ

「急がねばならない。兄という脅威を、より永続的な方法で排除する必要があるかもしれん。奴らは皆、私の王位への道を阻んでいるのだから」

慎重に作り上げた仮面が崩れ落ち、むき出しの怒りが顔を覗かせた。「絶対に駄目!」私は叫んだ。その言葉は喉を引き裂くように飛び出した。「そんなこと、絶対にさせないわ!」

エリアは驚いて目を丸くしたが、その奥には面白がるような光が揺らめいていた。「落ち着け、愛しい人よ」彼は私の真意を汲み取れぬまま、甘い声でそう言い、私の胸を愛撫し、首筋にキスを落とした。「障害となるのはあの人間だ。あの女さえ殺せば道は開ける。兄上はそれに耐えられまいし、ツネオも同様だろう」

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