CH9

ツネオ

苛立ちが俺を蝕む中、俺はもう一度床を押し返して腕立て伏せをした。腕は焼けつくように熱かったが、気分は少しも晴れなかった。俺は立ち上がり、クローゼットに隠しておいた打ち込み人形を殴りつけ始めた。だが、拳を振るうたびに、苛立ちの炎は煽られるばかりだった。

脳裏に彼女の姿が浮かんだ。レンとかいう名の人間と笑い合っている姿だ。どうせ掘っ立て小屋ぐらいしか持っていないような下民だろう。「試練」を乗り越え、女王に指名され、鳳凰と天の祝福を受けたというのに、彼女はたかが人間のために逃げ出したのだ。逃亡からまだ一時間も経っていない。城内はパニックで騒然としていた。通信鏡を通じて怒号のような命令が飛...

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