第6章
美月視点
キャンパスに夜の帳が下り、まばらな街灯が薄暗い影を落としていた。私は待ち合わせ場所に早めに着き、古い樫の木の闇に身を潜めた。周囲を観察し、これが罠ではないことを慎重に見極めるためだ。
八時きっかり、並木道に高橋海斗が一人で姿を現した。彼は落ち着きなく辺りを見回している。数分間様子を見て、彼が誰も連れてきていないことを確認してから、私は影の中から姿を現した。
「用心深いんだな」
私が姿を見せると、彼は言った。
「でも、それは危険な賭けでもある。もし僕が君を捕まえに来ていたら、どうするつもりだった?」
「チャンスには、必ずリスクが伴うものよ。危険を冒さずに、重要な情報...
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チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章

5. 第5章

6. 第6章

7. 第7章

8. 第8章


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