第131章 帰国

「だ、だめよ、外に出るのはやめましょう? こんなに混乱してるのに」

彼女たちが出かけたら殺されてしまうのではないだろうか? ここには法なんてものは存在しない。北部はY国の政府統治が及んでいないのだ。

渡辺千咲は日高詩に隠れているよう言い、自分だけ外に出た。彼女が物陰から覗き見ると、庭に二つの死体が転がっているのが見え、顔が微かに青ざめる。しかし、庭の様子を見る限り、すでに夜闇瞬によって制圧されているようだった。ただ、元々負傷していた彼の腕からは、まだ血が流れている。

「夜闇瞬、お前、約束は守れよ。さもなければ、お前が武装部とどんな関係があろうと、俺がお前を殺してやる!」

石田鋼...

ログインして続きを読む