第138章 終末世界(どうにもならない!)

構っていられない、構っていられないわ!

渡辺千咲は心の中で何度もそう唱え、急いでその場を立ち去ろうとした。しかし、数歩進んだところで、赤ん坊の泣き声はかえって大きくなった。

これでは中の人間が出てきてしまうかもしれない。

赤ん坊の泣き声が耳元で鳴り響き、それに加えて中の人間たちの言葉が蘇る。

『赤ん坊は柔らかい』

『食感が一番だ』

渡辺千咲は深くため息をつき、空間からTシャツを一枚取り出すと、中へ入って赤ん坊を抱き上げた。

腕に抱いた途端、その赤ん坊はぴたりと泣き止んだ。

渡辺千咲は、血と泥で汚れた手のひらほどの大きさの小さな顔を見つめる。

しわくちゃで、まるで小さな老人の...

ログインして続きを読む