第208章 彼女を迎えに来る

「では、もし行かれることが確定でしたら、こちらにサインをお願いします」

 職員は告知書を持ってきて、ペンを一本手渡した。

 渡辺千咲はためらうことなくサインをした。国境を越えるのがこんなに面倒だと知っていれば、直接裏道を通ったのに。もっとも、今では国境にフェンスと電気柵が設置されているので、多少のリスクはあっただろうが。

「こちらがY国大使館の電話番号です。何かありましたらご連絡ください」

「はい、ありがとうございます」

 彼女が行く都市にはH国の大使館はなかった。

「あの子、本当に大胆ね。こんな時期にY国へ行くなんて」

「俺たちは軍人だから二十四時間待機で、国境の安全は保証し...

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