第209章 夜闇瞬との商談

「このあたりは今、全部わたしの縄張りだ。怖がる必要はない」

渡辺千咲は彼をちらりと白目で見た。

「怖がってたら、ここまで来たりしないわよ」

夜闇瞬は眉を上げたが、彼女がそう言うのも意外ではないようだった。

彼女の性格は温和で、従順な猫のように見えるが、その実、雌虎なのだ……。

渡辺千咲は眉をひそめる。なんだか夜闇瞬の視線がおかしい気がする。

もともとY国のカラオケは、酒池肉林にまみれ、あらゆる汚濁に満ちた不良の溜まり場のような場所だと思っていた。

しかも、外観からして内装がひどく古臭い。

「これが、わたしが数千万も投資したもの?」

渡辺千咲は心底うんざりしていた。自分が出し...

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