第270章 誘拐された!

 夜、渡辺千咲は終末世界へと時空を渡った。

 本当は先に中島暁のところへ行きたかったのだが、昨日のことを思い出すと、彼女はなぜか少し恥ずかしくなってしまった。

 まずは基地の方へ。昨日の小川紗愛の話が、どうにも気がかりだったからだ。

 案の定、基地のヴィラに転送された途端、そこが異常なほど静まり返っているのを感じた。

 彼女が転移してきたのは夜の六時。ならば、こちらの時間は朝の六時のはずだ。

 この辺りは四時か五時には空が明るくなるのに、転移してきた今、六時だというのに空はまだ暗い。

 明らかにおかしい。

「渡辺千咲、この子供を生かしておきたければ、大人しく俺についてこい」

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