第296章 誕生

氷魚といちくんは初めて転送陣に入った。二人とも普通の人間だ。

初めての転送がもたらす眩暈に耐え切れず、そのまま気を失ってしまった。

渡辺千咲と中島暁が一人ずつ抱え上げ……さらにもう一つ、宙に浮かぶ箱があった。

ふぅ……

かつては凍てついた陸地だったが、今やここは完全に水没している。

渡辺千咲は空間から、以前収納したモーターシティを取り出した。

皆ずぶ濡れのままモーターシティの中へ入る。

氷魚といちくんはまだ意識を取り戻していない。

目の前の箱には、全身裸の渡辺陽が閉じ込められていた。

中島暁はすぐさま渡辺千咲の前に立ち塞がり、わずかに眉をひそめる。

「まだ起きないのか?」...

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