第297章 夏ちゃん

「渡辺陽はまだ目覚めないのか?」

彼女が出産してから、すでに三日が過ぎていた。

渡辺陽は、依然として意識が戻らないままだ。

「治療ポッドの表示では、治療進捗は八十パーセントに達しています。そろそろ目覚めるはずですが」

氷魚もこの数日間、ずっと渡辺陽の傍に付きっきりだった。

外の空はほとんど真っ黒に染まり、それだけでなく気温は三十度以上にまで上昇していた。

ほぼ数時間ごとに、気温が数度ずつ上がっていく。

ここではこれから、一年間にわたる極夜と高温の生活が始まるのだ。

渡辺千咲がずっと理解できなかったのは、極夜ならば凍えるような寒さになるべきではないのか、ということだった。白夜こ...

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