第35章 脚本を改編してください

渡辺のお婆さんも特に気にすることなく、かえって上機嫌に話し始めた。「信一の家、今日、新車を買ったんだよ。さっき見てきたけど、なかなか良かったねぇ!」

「大孫が免許を取りたいけど金が足りないって言ってたじゃないか。あたしが千出してやるから、さっさと免許取らせなって」

山田紗花の目が突然、驚きに見開かれた。

「えっ? 車を買ったんですか?」

「買ったよ! だから言ったんだ。女のくせに車なんて買うもんじゃないって。結局聞きやしない。どうせ嫁に行ったら他人の家のものになるってのに!」

渡辺のお婆さんは息子の言葉を思い出し、腹の虫が収まらない様子だった。

「いずれ信一たちが死んじまっ...

ログインして続きを読む