第61章 金持ちの道でますます遠くなる。

中島暁は小川強、高橋良介、そして一人の陶磁器工場の工員を連れていた。

工員は後部座席に座り、緊張した面持ちだった。なにしろ、外に出ればゾンビに遭遇する可能性があるのだ。

それに、基地長や他の責任者たちと同じ車に乗っているのだから、緊張するのは当然だろう。

まるで一般市民が大統領と同じ車に同乗しているようなもので、心拍数は百を下回ることがなかった。

工場の設備のうちどれが使用可能か、やはり工員に見てもらう必要がある。

車内のディスプレイには気温がわずか五度と表示されており、幸いにも車内は空調のおかげでいくらか暖かかった。

車の窓ガラスにも、薄っすらと霧が張っている。

「このままだ...

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