第85章 彼女に謝罪する

「食料を渡すか?」斎藤啓一は尋ねた。

「物と交換だ! 骨董品、金、価値あるものなら何でもいい。技術でも交換可能だ!」と中島暁は言った。

二人は一度殴り合い、少しは気が収まったのか、今は全員がテーブルについていた。

斎藤啓一の口の端からは血が滲み、中島暁も無傷というわけにはいかず、肩に痛みを感じ、背中には古傷が疼いていた。

「骨董品? そんなものに何の意味がある?」斎藤啓一は呆れたように言った。

てっきり中島暁は銃や弾薬を要求してくるものだと思っていた。それらはひどく不足しており、この間のゾンビの群れを掃討したせいで、弾丸はほとんど残っていなかった。

「食料が欲しいなら、俺の言う通...

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