第4章
明日香視点
どれくらいの時間が経ったのかわからない。気がつくと私はソファに横たわっていて、彼のスーツのジャケットが掛けられていた。体はまだ鈍く痛んだけど、それ以上に心が痛かった。
政司は向かいの椅子に座っていた。すっかり服を着こなし、手にはウイスキーのグラス。まるでさっきの出来事などなかったかのように、彼は完全に落ち着き払っていた。
「さて、この三年間、お前がどう過ごしてきたか話してもらおうか」彼の声は、あの冷たい落ち着きを取り戻していた。
私はジャケットをきつく引き寄せ、彼の視線を避けた。「生きるためよ」
「生きるため、だと? ギャンブルで三百万もの借金をこさえるほど...
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