第103章

桐谷憂が階段を降りると、ふわりと海鮮麺の香ばしい匂いが漂ってきた。

ちょうど料理を終えたばかりの空見灯が、彼に気づいて慌てて声をかける。

「桐谷社長、お夜食はいかがですか?」

桐谷憂の視線は、彼女のまだ赤みの引かない首筋に落ちた。無意識のうちに、彼は首を縦に振っていた。

「ああ、もらうよ」

空見灯は手際よく二つの丼に麺を盛り付けた。桐谷憂の分は、心持ち多めによそってある。

彼がスープまで飲み干すのを見て、彼女はようやく口を開いた。

「今日は、助けに来てくださってありがとうございました」

「俺は何もしていない」

桐谷憂は食器を食洗機に入れながら淡々と答えた。

「君の身のこな...

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