第104章

翌朝早く、空見灯が朝食の支度をしようと起き出すと、キッチンで桐谷憂がオーブンと睨めっこをしていた。

手には説明書が握られているが、動く気配はない。

別に朝食を作りたかったわけではない。ただ、寝付けなかっただけだ。

なぜか、成田響の言葉が頭から離れないのだ。

空見灯とは契約結婚とはいえ、まだ離婚もしていないというのに、成田響はもう彼女に目をつけているのか?

考えれば考えるほど苛立ちが募り、彼は早起きしてオーブンの使い方でも研究してやるかと開き直ったのだった。

前回の惨事を思い出し、空見灯は慌てて歩み寄った。

「桐谷社長、やはり朝食は私が作ります」

「ん」

桐谷憂は短く応じると...

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