第108章

唐沢琉璃は、歯ぎしりする思いでその条件を呑んだ。まさか空見灯がこれほど強欲だとは、夢にも思わなかったのだ。

会社も金も寄越せとは。これでは実質、数百億を巻き上げられたも同然ではないか。

篠原流輝は言っていたはずだ。空見灯は卑屈で臆病な女だと。それなのに、金のこととなると、なぜこうも容赦がないのか。

空見灯の背後にいる桐谷憂、切れ者の高橋優花、そして篠原流輝という爆弾……。唐沢琉璃は観念したように瞳を閉じた。彼女に打つ手など、残されていなかったのだ。

高橋優花の手腕は鮮やかだった。その場で会社譲渡の基本合意書を作成し、さらに空見灯への精神的慰謝料として六十億の支払いを確定させた。

手...

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