第110章

「星芒メディア」の正門前で、空見睦月は掲げられた横断幕にスマートフォンのレンズを向けていた。

花邑栞が躊躇いがちに声をかける。

「ねえ、本当にこれでいいの? 万が一、姉さんの仕事がなくなったらどうするの?」

「姉貴は今や六十億も持ってるんだぞ。会社だってある。社長様だ」

空見睦月は冷ややかに鼻を鳴らした。

「どうりで俺たちと縁を切ろうとするわけだ。最初から計算ずくだったんだよ」

以前の彼にとって、空見灯は男に頼るしか能のない役立たずな女だった。篠原流輝がいなければ、まともな職にさえありつけなかっただろうと見下していたのだ。

だが、空見灯は篠原流輝と別れ、実家とも絶縁した途端、著...

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