第111章

パトカーの中、空見家の面々が喚き散らす声を聞き流しながら、空見灯は高橋優花に連絡を入れた。

彼女は決断したのだ。和解書を撤回し、補償金を全額突き返すと。

唐沢琉璃の仕業だとわかれば、話は早い。

彼女がなぜ篠原流輝にこれほどまで肩入れするのかは知らないし、きっとよっぴきならない事情があるのだろう。

だが、だからといって空見灯への嫌がらせが正当化されるわけではない。

まともに和解する気がないなら、結構だ。

金は好きだが、どんな金でも欲しいわけではない。篠原流輝には十年ほど塀の中で頭を冷やしてもらうのが世のためだ。

それに、予感があった。唐沢琉璃は必ずまた接触してくる。噛みつかれたら...

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